寝ても覚めても三題





1:喋喋喃喃(○慶)



頭の奥深くまで聞こえる低い声。
擽ったさに肩が揺れる。

聞こえる度に。
返す度に。

増すよ、増すよ。

アンタへの愛しさ。















2:青息吐息(佐慶)



右を見ても、左を見ても、道など無い事はすぐに分かった。
「参ったねェ…」
逃げ出すことなど不可能と言う事も、すぐに分かった。

空を仰ぐ。

このことを聞いたら、泣いてしまうかな、などと考えた。
でもその涙を止める術が自分にはもう無い事の方に、困ったなと、苦笑した。
















3:昼想夜夢(政慶)



「……っていう、夢を見たんだ」

「ふーん」

「思った通りに見たんでかなりのsurpriseだ、面白いもんだな」

「へー…」

「…An?どうした、その薄い反応」

「…あのな…自分が夢の中でとはいえ丈が膝上な巫女さんの格好で狐耳に尻尾まで生えて膝立ちで政宗の腰に腕を回しておねだりしてたって聞かされれば、誰だってこうなるに決まってるだろっ!!」

「誰だってじゃねェ、慶次だから見た夢だ」

「うるさーーいっっ!!!」















*補足*
1.男女が睦まじく語り合う様子。また、小声で親しそうに語り合う様子。
2.非常に困ったとき、極めて苦しいときに発する元気のないため息。そのような状態。
3.目覚めている昼に思ったことを、夜寝て夢見ること。