甘やかな3つの願い





1:このひと時が壊れないように、そっと(幸慶)



縁側に2人で腰を下ろし、食す団子。
他愛もない会話に笑いあう。

慶次殿の手を握った。

力加減など分からない。
けれど、向けられる笑みに。

今度は、顔を寄せた。















2:嘘も真実も声も言葉も、全部呑ませて(就慶)



政の書物を読む相手の服を、寝転がったまま引っ張る。
見下ろす瞳に、身体が震えた。

「慶次」

俺はくちびるを、開いた。
それは喋る為にではなく。
受け入れるため。















3:叶うなら、永遠を(佐慶)



紅く、血塗られた掌を広げた。
そして、一瞬の躊躇。
「大丈夫だよ」
と、身体に先に回る腕。
頷いて、抱き締めて。
この幸福に涙した。

神様、神様、願わくば。

(この命だけは散らさないでおられますように)