メリコ様より。






白い石が、間を置いてパチン、と置かれる。
黒い石が、すかさずパチン、と置かれる。
ズッ、と茶を啜る音がする。

「…元就ぃ…」

情けない声を出す目の前の対戦相手を横目に、名を呼ばれた元就は余裕の笑みを崩す事をしない。

「どうした、慶次。手が動いておらぬぞ」

顎でしゃくられても、動かないものは動かない。
完全に慶次の石を置く手は、織り込まれた足の下に仕舞われて止まってしまっている。
眉間へは、皺を刻んでいくばかりで。

「ほらほら、早く置かなきゃ制限時間きちゃうよー」

人事と言わんばかりに――実際その通りなのだが――茶を片手に碁盤を見下ろす佐助を慶次は、苦々しい表情で見上げた。
だが海にもし落としでもしたら、膝の上の夢吉まで綺麗に飛び込むことになる。
大体なんで、武田の忍がこんなところにいるのかなど、今更聞いても仕方のないことだ。
元就が特に疑問も抱くことなく受け入れて、茶まで出させているこの事実など、この状況では如何でも良い事。

打ちたいのは、相手にぐうの音も出させない程の一手。

意を決し、白い石を中指と人差し指の間に挟み。
頭の上へ高々と、その石を掲げてみせる。
佐助の口からは、おお、と笑いながらの声が萌れ。
元就は、視線を真上へと投げるのみ。

キラリと見えたその場所へ、慶次は渾身の一手を打ち込んだ。




「ここだァッ!!!」




「甘い」




「あーあ」




勿論、ぐうの音も出なくなったのは、慶次の方。
魂込めて打ったその一手なぞ、智将元就、蚊に刺されたほどでもなく。
すぐさま返されたその一手に、もう何処に打とうとも、勝てる見込みなどないことは誰が見ても火を見るより明らか。
両手を挙げて、屈辱の言葉を口にする。



「投了だよ、投了ッ!!」



遊びとはいえ勝負事、悔しさにごろりとその場に横になり顔に掛かる日差し眩しく顔を顰めると。

「キキッ」

夢吉が、顔の前へと団子を差し出す。
小さな優しさに熱くなる目頭隠すべく。

「夢吉ぃー…イタァッ!!」

その身体、顔に押し当てれば団子の串が顔にチクリと食い込んで、ゴロゴロ床を転がる様子。
呆れたように見下ろす元就と、腹を抱えて笑う佐助。

でも結局二人の心は同じ事。




『馬鹿な子ほど、可愛いものだ』









「紗祥」のメリコ様よりリクイラとして頂いてしまいましたッ!!

なんという悦。
なんというこの萌えの集合体…ッ!!
普段絶対に一緒に描かれることはないであろう三人をリクしたところ、こんな素敵なイラストを描いていただきました。
大変だ、鼻血を出してしまうじゃないか(真顔)
この「我に叶うわけが無かろう…さて、次の一手を打ってみるが良い」的な、得意げな表情の元就といい。
「ちょちょっ…何コレ、もうちょっと手加減ってものをさァ…!」的な、物凄い困った表情の慶次といい。
「ふーん…俺様なら、次はあそこに打つかな。慶ちゃん時間持ちすぎよー?」的な、余裕綽々で飄々とした表情の佐助といい。


大変に好み過ぎて、困りますよッ!!!(じったんばったん)


これ見てるだけで1本話が書けてしまいそうな、そんな素敵イラストです。(というか、書いてしまいました:爆)
そしてなによりもこの夢吉の可愛い事可愛い事可愛い事!
大事な事なので3回言いましたが。
団子持って佐助の膝の上にいることがなんかもう余りに似合い過ぎて、大変ですよ!
将を欲すれば先ず馬を射よ
、ですか、佐助さん。
大変です。
紗祥さんには全くその意図は無いかもしれませんが、佐助vs元就→慶次的な図式がもう、もうッ!!


私、幸せです。大好きですッ!!(告白)


素敵なイラスト、本当にどうもありがとうございました!!
物凄い崇め奉らせて頂きますねw−vv



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