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【肩の震えは寂しい証拠】
【肩の震えは寂しい証拠】
寒くてたまらない。
凍えてしまいそうな位、寒い。
泊まらせてもらってる遊郭の窓から外を見たら、雪が、はらりはらり。
うっすら、辺りは白くなっている。
「雪見酒、かな」
冷えた肩に、小さく身体を震わせて、羽織を掛ける。
手元には、昨日飲み残していた既に冷えた、熱燗だった酒。
猪口に注いで、一口。
咽から胸へと、酒が流れ落ちていくのが分かる。
それくらい、寒い。
何もかもが、寒い。
「政宗、寒い」
ふう、と吐き出した息。
白く残って、すぐに消えた。
呟きも、あっという間に消えて。
(ああ、側にいたい)
なんだか漠然と、そう、思った。
(アンタの温もりが、欲しいよ)